「カッコいいけど、いっつもかっこいいけど…、たまにね、凄く可愛い時ある…んだけど。
あ…、でも可愛いって言ったら、幸谷君、なんかちょっと拗ねてた気…する。」
夏の想い出。
それが頭に浮かんでそのまま口にした私にまた、一層目を見開いた莉子ちゃんが、「先輩…、拗ねたりすんねんな…」と、呆れたように呟いた。
「あ、え…と、拗ねるって言うか…。
え、違うんだけど…、」
焦る私に三人は目配せして口角を上げた。
「ふーん、幸谷先輩、可愛いんや~。」
「ふ~ん、幸谷先輩、拗ねんねや~。」
「クールで無口、俺様な印象しかなかったのにな~、先輩って。」
あー、私、要らないこと喋っちゃったんだ…。
後悔しきりのあたしに、「幸谷先輩、マジに愛子にベタ惚れやん。超溺愛(笑)。」と茶化してきた。
「なんか…、恥ずかし過ぎるんだけど…」
それしか答えられない私。
「こりゃ、見ものやで。
工祭。
突然愛子現れた時の幸谷先輩、早く見たいわ~。
あ、愛子、工祭行くん、先輩に内緒にしとかなあかんからよ。」
「…なんで?」
「「「面白ないやん、突然がええねん。」」」
三人の声が揃ったのが…ちょっとだけ怖い…。