二学期が始まって、色んな行事が目白押しの毎日。
楽しい高校時代。
きっと、一瞬…
「愛子、先輩の学校の文化祭行くんやろ?」
「行きたいけど…、幸谷君からは誘われてないん…だ。」
睫毛を伏せた私に、沙穂ちゃんが「よし、先輩の事、驚かせちゃおー。」と、声高に私の肩を叩いて莉子ちゃん裕子ちゃんに同意を求めた。
「いいねぇ。
工祭って、楽しそうやし。」
「ってか、沙穂、あんた、彼氏に誘われてんでしょーが、石原光喜に。」
「まぁね。
ってか、莉子、あんたウチのダーリンのこと何故にフルネームな訳?
しかもちょっと、ランク下的な言い方やん?」
沙穂ちゃんが口を尖らせて莉子ちゃんを睨んでチューッとイチゴミルクの紙パックを凹ませながら吸った。
その姿が妙に可愛くて笑みが零れちゃう。
「ランク下…(笑)。
だって、石原とあんたって妙な主従関係あんだもん。」
「はぁ?
なによ、その主従関係って。」
「飼い主 と 犬?」
(沙穂) と(石原)
「きゃははははは、それいい。
マジ、そんな感じやん。
沙穂がリード持って、石原君がチワワみたいな(笑)。」
「金髪のチワワ(笑)。」
裕子ちゃんと莉子ちゃんの会話が可笑しくて笑う私。
「でも、石原君って金髪だったっけ?」
笑い過ぎて出た涙を指先で拭いながら聞いた私に、沙穂ちゃんが小さな声で口を尖らせた。