蝉の鳴き声と、松林の間をすり抜ける少し心地よい海風。

長いキスの合間、現の間に薄ら開い視界に入る、幸谷君の綺麗な瞳。

熱っぽい瞳は少し伏せ目がちで…





胸の奥がギュッと締めつけられて

お腹の下、奥の方がズクンっと波打った。





口内を這いまわる幸谷君の舌に翻弄される。

こんなキス







「ッん…はぁぁ…ん」






漏れる自分の声が恥ずかしくて、それなのに、この苦しいキスが…愛しい。






チュッ…






激しいキスに肩で息をする私を優しく抱きしめてくれた幸谷君の胸に顔を埋めた。







「ヤバいんやけど…。」







私の背中をあやす様に撫でつけるながら呟く言葉の意味が分からない私は、それを追求する思考もなく、ただ、さっきのキスに酔いしれていた。







「マジ…、好きや…、からな。」







「うん…、あたしも…。」







「向日葵…、見に行こうっか?」






「うん。」







ヘルメットを被って、単車の後ろに跨る。

いつもより、強く広い背中にしがみついた私に幸谷君はどう感じてくれてるんだろう…。







「…幸せ…あたし。」






単車の排気音。

それにかき消された私の言葉は私の事の時の偽りない気持ち…






ずっと、幸谷君の愛されて…





傍に居たい…





そう願った。

儚い願い。