さっき荷物をまとめた時見えた白地に赤のパッケージ。

それにライター。

私と居る時はきっと遠慮してたんだね…。

ホントは不良は嫌い。

煙草を吸う人も嫌い。






でも、幸谷君は別…。





シュポッ…





煙草を口端に咥えてライターで火を付ける一連の仕草すらカッコ良くてクラクラクする。

私の知らない世界を見る気がしてドキドキする。




私と反対側に顔を向けて、フッーっと吐き出す煙。

いつもはフワフワの幸谷君の髪は、海水と潮風の所為で少し湿って額が晒されていた。







「幸谷君の目もとの黒子…、好き…」







勝手に言葉を紡いだ自分に驚いた。

そんな私をもっと驚いた顔をした幸谷君が煙草を口元から落しそうになった。






「いきなりの攻撃やな…」







そう呟いて煙草を大きく吸い込んだ幸谷君が上を向いた。

そして煙を吐き出した。

細く頼り無さ気な白い煙がフワリと舞った。






「見ててみ?

煙で輪っか五重にするで?」






少し得意気に私を伺った幸谷君がまた大きく煙を吸い込んだのは胸の動きでわかった。