「綺麗やろ?」
「…うん…」
夏の海のイメージはこのままで、私は感動した。
人より幾分弱い涙腺は、この海の色と幸谷君と手を繋いで一緒にこの風景を見れてることに簡単に決壊しそうだった。
「秋はまた違う感じやし、冬は、もっと違うんよ。
また、二人で見に来ーな?」
「…うん。」
「…泣いてんのか?」
「…うん。」
「海に?」
「幸谷君と、一緒に見れたから…。」
繋いだ手を引き寄せられた。
裸の胸に直接抱き寄せられた私は、酷く固まったまんまで…
「…せっかく日焼け止め塗ったのに、赤なってんな…」
ホルダーネックになった水着のリボンを抱きしめたまま、そっと避けたのがわかった。
そして、そこに指先を這わされると、少しだけチクンと痛んだ。
「これ以上焼けたらあかんし、さっき、浜へ残したシーグラス取りに戻ろか?」
「うん。」
私の手を引いて一歩前を歩く幸谷君に胸が焦がれる。
日に焼けた広い背中。
綺麗な背中。
華奢に見えてたのに逞しい二の腕やカラダ全体の雰囲気にカラダの奥がキュンと音を立てた。