海の中を手を繋いで歩いた。
太陽は頭の真上に凄く熱い。
カラダは、海水のひんやりした水温で火照りを冷ましてくれるのに、顔はずっと火照ったまま。
「ちょっと、岩で足痛いかもしれやんけど、大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
私に向けられる幸谷君の笑顔は、太陽みたい。
真っ白な歯を見せて目を線みたいに細めて笑う幸谷君に愛しさが増す。
好きだよ…。
いっぱい、
いっぱい好きだよ。
口に出して言えないけど、ホントに大好き…。
平らな岩場を少しだけ進むと、急に海水の色が深緑になったのがわかった。
「この下、結構深いねん。
足滑らせんなよ?」
「うん…」
幸谷君の手をギュッと握りしめて、私は少し不安定な岩場に気を付けながら前へと進んだ。
「ほら、前見てみ?」
幸谷君に促されて前を見る。
蒼…
少し前に小さな島がいくつか見えて、その後ろは広い広い海原。
群青色
蒼色
波は白…
地平線に船が小さく見えた。
絵ハガキみたい…
「うわぁ…。
…凄い…綺麗…」