レヴィから調べるようにと任せられた仕事は、ここ最近噂が絶えない謎の蜃気楼の事と、バリアン兵士の不可解な砂漠調査の理由だ。
相棒の彼が言うように、この二つは少なからず…否、必ず関連性があるとロキも予想していた。
もしそうならば、砂漠調査に関する情報の延長線上に蜃気楼の正体も自ずと浮かび上がるというものだ。一石二鳥を得るためには、侵入の一つや二つくらいこなさなければならない。
今回の侵入で目的の情報を得られなかったとしても、手土産を持って帰ると宣言したのだ…質は落ちても数で補う方向で、とにかく役立つ情報をこの機会に仕入れておきたいところだ。
(………少し暗いな…)
外の松明と月明かりでは、手元の羊皮紙の形をぼんやりと浮き立たせることが出来ても、そこに並ぶ滲んだインクの識別までは難しかった。
…もっと何か明かりが欲しい。しかし室内全体を照らすわけにはいかない。バレない様に、小さな蝋燭か何かは…。
そんな都合良く手頃な明かりがある筈が無いのを分かってはいたが、ロキの片手は無意識で羊皮紙の海を掻き分け、ただただ闇を仰ぐ。
遊ぶ片手は物置同然の机の下を這い、埃や紙屑を掴んでは離していると……ロキの手は、不意に細長いものを掴んだ。
何となく引き寄せてみれば…偶然にも、それはたった今望んだばかりの蝋燭だった。よく見れば傍らにはマッチも転がっている。
真新しいが、少し使われた跡のあるそれをロキは呆然と見下ろし、笑みを浮かべた。
「…お、ラッキー」
その偶然を楽観的に喜んだロキだったが……蝋燭に火を点しながら、ロキは首を傾げた。
………ラッキー?
(……そう言えば………どうしてこんな床で…ちょうど手が届く範囲で…明るすぎない蝋燭とマッチが転がっているんだ…?)
あまりにも都合の良い、しかし不自然な現象に、ロキは手元の明るい小さな蝋燭をしかめっ面で凝視する。
…まるで、以前にも他の誰かが自分と同じ場所に座って、こっそりと羊皮紙の海を漁っていたかの様な…。
相棒の彼が言うように、この二つは少なからず…否、必ず関連性があるとロキも予想していた。
もしそうならば、砂漠調査に関する情報の延長線上に蜃気楼の正体も自ずと浮かび上がるというものだ。一石二鳥を得るためには、侵入の一つや二つくらいこなさなければならない。
今回の侵入で目的の情報を得られなかったとしても、手土産を持って帰ると宣言したのだ…質は落ちても数で補う方向で、とにかく役立つ情報をこの機会に仕入れておきたいところだ。
(………少し暗いな…)
外の松明と月明かりでは、手元の羊皮紙の形をぼんやりと浮き立たせることが出来ても、そこに並ぶ滲んだインクの識別までは難しかった。
…もっと何か明かりが欲しい。しかし室内全体を照らすわけにはいかない。バレない様に、小さな蝋燭か何かは…。
そんな都合良く手頃な明かりがある筈が無いのを分かってはいたが、ロキの片手は無意識で羊皮紙の海を掻き分け、ただただ闇を仰ぐ。
遊ぶ片手は物置同然の机の下を這い、埃や紙屑を掴んでは離していると……ロキの手は、不意に細長いものを掴んだ。
何となく引き寄せてみれば…偶然にも、それはたった今望んだばかりの蝋燭だった。よく見れば傍らにはマッチも転がっている。
真新しいが、少し使われた跡のあるそれをロキは呆然と見下ろし、笑みを浮かべた。
「…お、ラッキー」
その偶然を楽観的に喜んだロキだったが……蝋燭に火を点しながら、ロキは首を傾げた。
………ラッキー?
(……そう言えば………どうしてこんな床で…ちょうど手が届く範囲で…明るすぎない蝋燭とマッチが転がっているんだ…?)
あまりにも都合の良い、しかし不自然な現象に、ロキは手元の明るい小さな蝋燭をしかめっ面で凝視する。
…まるで、以前にも他の誰かが自分と同じ場所に座って、こっそりと羊皮紙の海を漁っていたかの様な…。