レヴィとの仲も長いが…ライは仲間の中で一番、レヴィという人間がよく分からない。
仲間にも自分にも厳しく、他人は第一に疑い、そして敵には容赦無い。笑ったところなど見た事が無い、寡黙で気難しい人。親しい人間にも、自分の中身を見せてくれない人。
彼の感情は常に何処にあって、何処に向けられているのか…全く分からない。

読めない、砂漠の風の様な人。



しかし仲間達は、不思議と彼を慕う。
先頭に立つ彼の背中を見ていると、その確固たる彼の寡黙な志に、皆影響されるのかもしれない。彼の強い何かに、可能性を感じるのかもしれない。


「レヴィ、武器の手入れは僕がしますから今夜は休んで下さい」

焚火の向こうで作業に没頭するレヴィに顔を向けてそう言えば、彼は何故か無言で小さく首を左右に振った。

「いや、手入れなら昼間の内に終わらせている」

「…え、そうだったんですか?…じゃあ、今は何をされて…」

手入れでなければ彼は今何をしているのだろう…と不思議そうに彼のを見やれば……レヴィは手元のものを掲げて見せた。
普段槍を縦横無尽に振るう鍛えられた彼の褐色の手に収まっていたのは…無機質な刃とはまるで世界が違う、とにかく彼という男と結びつけるにはあまりにも異質で、ハイレベルな想像力が必要となる…。


「…レースのハンカチ編みだ。今回の模様はデイファレトにあるロココ調を意識したデザインで、薔薇の花をワンポイントにしたシンプルなものだ。だが外側の模様は一見分からないが細かい荊模様にしようと思っている。全体の形としてはただの四角ではなく少し丸みを帯びたもので…」




最後に彼は、職人レベルで手芸が趣味である。


ピンポイントでだいぶ変わっているけれど、とりあえず彼はいい人だ。