森のハズレにある、小さな家のポストに届いた手紙。


宛名は………ない。



封筒からは、温かい『何か』が溢れている。


《Eveの夜に……》


中の便箋には、そう一言。


ボクは、カレンダーを確認した。



Eveまで、あと3日。


『なんだろう……』


首を傾げていると、後ろから咳が聞こえる。


「母さん、大丈夫?」


手紙を、テーブルの上に置き、病気で床に伏せている母親の元へ駆け寄った。



父さんは、秋に出ていったきりだ。



小さな暖炉の炎に凍えそうな夜もある。



それでも、小さなボクは、母さんを助けて今日まで頑張って来た。



そんな夜から、2日。



約束のEveは、もう明日だ。



「X'masだと言うのに、何もしてあげられなくて……」


母さんは、涙を流して謝る。



僕はただ、あの手紙が気になっていた。


でも、何も起こらない。



Eveに、プレゼントを持って、現れるおじさんがいるって聞いたけど……


貧乏な家には夢のお話しだ。



いつも通り、少しのパンを食べて寝る。



ただ、静かに降り続ける雪にいつもより長く祈りを捧げて……



病気の母さんと手をつないで寝る。


それが、ボクの幸福。



そして、次の日……



目を覚ますと……



大きなプレゼントと共に、父さんが暖炉の前に座っていた。


最高のX'masの朝だった。



=fin=