『俺は二人とも愛してる……どちらも選べないよ』


X'masの街をさ迷う私の心に、リフレインする言葉。


あなたは私を必要としていなかった。


今頃、何をしているの?


本当なら、その腕の中に私がいたはずなのに……


突き刺さる北風が側を流れる川に反射して、粉雪をさらに舞い散らせる。


天秤(ハカリ)にかけられた女の子の気持ちが解る?

私はあの娘みたいにあなたの胸にはすがれない。


二番目になった。そんな悲しいプレゼントなんて要らない。


甘えて最愛(ホンモノ)を貰える、幸福な彼女を恨みたくはないけど……


HolyNight


今夜だけは、いけない私になる。


「いたいっ!」


凍えそうな掌を擦り合わせた時に指輪が指に当たった。


「こんなもの……」


指から外し、指輪を見つめる。



『君の為に、選んだんだ。良く似合うよ』


そう言って、誕生日にあのひとがつけてくれた。


あの時のあなたはどこ?


頭の中にその時のシチュエーションが浮かび、自分の顔が違う女に変わる………



私は、指輪を思いっきり投げ付けた。


もう二度とは戻らない水の底へ。



さよなら、私の本気の恋。


私だけの………恋。



=fin=