*powder snow ~空に舞う花~*



「ゴメンな…」




謝ってなんか、ほしくない。

ゴメンの意味を考えたくないの。





「なに謝ってんのよ!

これからだって、友達でしょ?」




そぅ、『恋人』から『友達』にかわる。


私たちの、あるべき関係になるだけ。。


それだけだよ…海斗。





「…り」

「海斗!!じゃぁ、また明日学校でね!!」






――…もぅ限界。



笑ったままバイバイしたいから





「あ、あぁ。また明日学校で…」

「じゃぁね!」







クルリと背を向けて歩き出す。




まだ…

まだ泣いちゃダメ。





「莉子!!」



ほら…ね。






「なにっ!?」


『まだ何かあるの?』って、ちょっと呆れ顔で振り返る。





「あー…のさ、
気をつけてな」


ホント、バカ海斗。





「子供じゃないんだから、迷子にならずに帰れますぅ!

…じゃぁね」





もぅ、呼び止めてくれないコトは分かるから…

最後にヒラヒラと手を振って、背を向けて歩きだした。







ねぇ、

私、上手に笑えてた?



そんなコト聞くことも出来ないけど


海斗の前で泣かなかっただけ、自分で自分を褒めてあげてもイィよね…?






「…ただいま」



唇噛んで、家に帰って

リビングにも寄らずに階段を上がり自分の部屋に入る。





しっかりドアも閉めて

ベッドにダイブ。





明日の朝、枕だけ干して学校行かなきゃな…。。

なに…こんな時に考えてんだろ、私。。





「へへっ…

バカ、私…。

…ホン、ト…バカみたい………っ、、、」






海斗…



大好きだった



私は



ずっとずっと好きだったよ……



けど……バイバイ






【*side RICO,end*】


――――…




「ホントに行かないの~??」


放課後、大悟たちとのカラオケに


「今日はパス。またな」


しっかりお断りな言葉を残して、めずらしくまっすぐに家へ帰る。





「あ゛ー、意味わかんねー!!」



自分の部屋に着いた途端、カバンを使われた形跡のないキレイな机に投げつけて頭をかきむしった。





「…ったく。なにしてんだオレ」


ため息ひとつついてベッドに倒れこむ。



そのままズボンのポケットから無造作に握りしめて取り出す。



「………」



手のひらの中には…スカイブルーのメモ。








そのまま目を閉じれば



『好きよ』



そっと微笑んだ千雪の姿。






なんでいきなり現れた千雪に、こんなに頭ん中乱されるのか意味がわかんねー。

けど…どうしても頭ん中から離れない。





「誰なんだよ…お前」



メモに向かって文句。

会った記憶はナイ。

今分かるのは
『千雪』という名前
それだけ。




あぁ…、あとは
オレに『一週間』っていう期限付きでの誘いか。。。





「おしっ!!」



1人でムシャクャしてても仕方ねーし!!

真意はやっぱり本人に問うのが一番!!

今度こそ、ちゃんと聞き出してやる。


どうしてオレなのか。

お前は誰なのか。。。







投げつけたカバンに入れてある携帯電話を手に取ったら

メールの受信を知らせる黄色のランプが点滅していた。





「大悟か??」

誘いを断った後だしな。


何気なく受信ボックスを開いたら…送信者は莉子だった。



『wデートみたいだね…』


莉子の小さな声。





【もぅ家かな??

大悟たちとカラオケ、海斗行かないし、私も行かなかったょ~。

大悟たちにノロケられちゃうし(笑)

また明日、学校でね♪莉子より♪】





……莉子。





『別れよ?』そう言われた時は、正直驚いた。



オレは…『私は海斗が好き』あの背中を見た時、決めたんだ。



莉子を好きになろうって。
好きになれるって思ってた矢先だったから。



でも、そんなオレの考えだからこそ
莉子はきっと別れを告げてきたんだろう。




それに、『知ってるの』って言われたオレが隠していた過去。

中学校行ったって言ってたな。後輩にでも、聞いたのか。。




言い訳をするつもりはなかったけど… 何か言おうって思ったのに
結局オレはゴメンとしか言えなかった。



すぐにヤバいって思ったんだよ。
けど…泣きそうな顔して笑ってた莉子を目の前にしたら…もう何も言えなかった。







涙をこらえてるのは気づいていたよ。


けど… オレには何も出来なかった。


別れたくないと言えなかったから。


最後まで自分勝手で、傷つけたのに
莉子は別れた翌日から「おはよっ」と話かけてきた。


泣いたんだよな…?
目が腫れていたのにも気がついていたよ。






それからのオレたちは
友達として今でもバカみたいにはしゃいでいる。




別にオレに「恋心」ってゆうものがないワケじゃない。


中学校の頃…まだエースだったときも、かなりモテた方だと思う。



けどあの頃は
誰かと付き合うとか考えもしなかった。
夢中になれていたのは
水の中だけだったから。



それでも告白された時は嬉しかったし、気分は高揚した。



高校になって、莉子に会った時…最初は正直軽い気持ちだったけど


好きになりたいと…思った。



今になっては言い訳にしかならない事くらい分かってるけど



お前のコトを真剣に好きになりたぃって
思ったんだよ…莉子。





けど…ゴメンな。



ズルいって自分でも分かっているけど…


莉子には、絶対に幸せになって欲しい。
オレじゃない…他の誰かと。。。