だって…
大悟の言うとおり、普通は彼女にあんな事したら
キライだとか、最低だとか、めっちゃ怒って言われると思うだろ?
なのに…莉子は普通だったから絶対大悟が絡んでると思ったのに。。
「だって、莉子は大悟に話したんだろ?」
『あぁ、それは確かに電話かかってきたよ。
んで、海斗が怒ってた理由が分かんないからって、一部始終話してきたけど…』
「そん時、大悟はなんて言ったんだよ??」
うんうん。って聞いてただけじゃぁ…ないだろ?
『だからぁ!!こないだも言ったろ!?
お前が触れて欲しくない話をオレが話すわけねぇじゃんって。
でも、だからと言って
泣いてた莉子チャンを慰める上手い話なんてすぐには浮かんでこないっての!!』
確かに。。
大悟の言ってる事もわからないわけじゃないけど…
「んだから??」
『それがさ~、莉子チャンにどう話そうか考えてたら…
『あー、やっとスッキリしたぁぁ~!!』って。。
これが、めっちゃ大声でさ、オレもビックリしたよ』
………はぁっ??
「なんだよ、それ!?」
スッキリしたって、意味わかんねえし!!
莉子、泣いてたって言ってたろ!?
『バカか!!海斗が分かんない意味をオレが分かるわけねぇじゃん!!』
オレだって…わかんねえよ…。
「じゃあ、大悟に愚痴ったら
それで気が済んでオレには怒らなかったんかな??」
でも、なんか…違う気がするのは
気のせいか??
『今の海斗には、莉子チャンに怒られて嫌われた方が楽だった??』
「そういうわけじゃねぇけど…」
『……海斗くんのドM』
「は!!????」
またいきなり、なんだよ!?
しかもオレは自称ドSだ!!…って、そうじゃない!!!!
『怒られたかったなんて~(笑)』
このバカ大悟……
もう少しくらい、分かりやすくとか…思わんか?
「あー、お前に話したオレがバカだったよ」
『だろっ』
本当にバカなのはオレだな。
怒られて嫌われた方が良かったかなんて…
その答えが本当は決まってるオレを
否定して責めるわけでも、肯定して慰めるわけでもなくて、全て分かってるように茶化す大悟。
コイツにこの言葉を口に出して言った事なんて、全然記憶にないけど
たまには…、な。。。
「あー、大悟。あり…」
『告白は電話じゃなくて、会った時にしてほしいんだけど』
やっぱ
コイツには、かなわねぇ。
……がとな。。。
―――…
『…留守番電話サービスにお繋ぎいたします。
ピーという発信音の………』
「………」
明日は始業式。
夏休みも今日で終わる。
夏休みの思い出は
特になし。
一週間前に買ったばかりのRPGゲーム、全攻略済み。
夏休みの課題のラストスパート、今夜が山。
「……ハァ。。」
彼女からの連絡、一切なし。
「出なかった??」
夏休み中に出来たプチ居候状態の奴、…1名。
「大悟さ…なんで今日もいんの??」
「海斗が寂しくないように」
「アホ。なんか予定ないの??」
「海斗こそ」
「……」
「……」
「……飯、食うか?」
「おぅ」
最初は…
忙しいのかなとか
なにかあったのかとか
色々考えたり、心配したりしたんだ。
だから、着信も留守電も残したり、
メールしたりしたんだけど…
今だに莉子からの連絡はないまま。
だから、こんな今は…
なんの確信も保証もないけど
「なにかがある」って
そう、思ってる。
明日は始業式。
明日は会えるはず。
オレが思う「なにか」が、ただの気のせいだったのか
その「なにか」がわかるのか。。
―――――…
「やべっ!!遅刻!!」
休みボケして目覚まし止めたの誰だよ!!
あー……オレか。。。
始業式早々に遅刻したらカニ先になに言われるか分かんねーし!!
ってか…
早めに行って、莉子に普通に話かけるつもりだったのに
マジ予定狂い過ぎだっての!!
今日みたいに遅刻した時に猛ダッシュしてると
まだ出来るんじゃないかって…
そんな事を考えてたりする。。
今日は
そんな事考えてる時間もねぇけどさ!!!
キーンコーンカーンコーン……
「セーフ!!!」
チャイムギリギリで教室入室!!
………セーフって、思ったのに…
「アウトだっ!!」
バシッッ!!!
「――ぃってっ!!」
バシッって言ったぞ!!!
ヒリヒリする後頭部押さえながら顔を上げたら
これでオレを殴ったであろう日報片手に真っ赤な顔のカニ先。
「先生、
日焼け…しすぎじゃね??」
夏休み明けは焼き蟹かよ??なんて、付け加えたら……
「早く席につけっ!!!」
…ゴツッ!!
「いってェェ――!!!」
絶対、角!!角はマジ凶器だっての!!
ゴツッって!!!
こんな、朝っぱらからカニ先との漫才らしいやりとりは
クラスの全員から笑われてて
もちろん…オレの視界にいる莉子も
ホント、バカねって顔して笑ってた。