「車乗って。」
「あ、うん!」
車まで走っていると浴衣に足をとられてバランスを崩し転ぶと思った時・・・、
「大丈夫か?」
先生が支えてくれた。
「ごめんね。あまり着ないから慣れなくて・・・。」
「ほら。」
差し出された先生の左手。
「え?」
「危なかっしいから車乗っている時以外はこれな。」
左手で私の右手を握った先生。
初めて繋がった私達の手。
大きくて暖かい手・・・。
幸せだな、私。
車に乗り込んだ私達はきらびやかな街を抜けて少し離れた場所へ向かう。
「ねえ、どこに連れていってくれるのか教えてよ~!」
「いいところ。」
「もう!それしか言わないんだから。」
さっきから何回聞いても同じ答え・・・。
もう聞くの諦めて着くまでのお楽しみにしておこう。
車内で流れているFMから聞こえるのは七夕で街が賑わっているというリポート。
先生は運転に集中しているのか無口で、私は車の心地良いリズムから眠りの世界に誘われてしまった。