「いや、でもね…」
「ほら、生徒の野次馬をどうにかしないといけないんじゃないんですか?ほら、出て行きましょう!」
沙織が強引に保健室にいる先生を追い出してくれた。もちろん、保健の先生も…。
すると、すぐに沙織からメール。
【澪は先生の傍にいてあげて。先生も目覚めてまず最初に見たいのは、澪だと思うから】
…ありがとう、沙織。
私は先生の傍にあるイスに腰掛けて先生の手を両手で包み込む。
…先生、目を覚まして。
まだ周りがうるさい。きっと私と先生が二人っきりでいることに興味を持たれている…。
それから、数十分が経った。
周りはまだうるさくて、先生も目覚めない。
「…隼人」
滅多に恥ずかしくて呼べない名前…。でも、もしかしたら…という願いを込めた。
「…澪?」
…え。
「先生!」
目を向けると先生が私を見て驚いていた。
「あれ…俺…」
「倒れたんだよ、廊下で…」
「そっか…じゃあ、ここは保健室?」
「そうだよ」
すると先生は声を潜めた。
「何でお前が…?他の先生は?」
「沙織が先生達を追い出して私と先生の二人っきりにしてくれたの…」