先生とは色々あったけど、今はこうして寄り添っていられる。
「終わってほしくないなぁ…」
自然に出た素直な言葉。終わらなければ…ずっと続けばいいのに。
「確かに寂しいけど、これで終わりじゃないだろ?」
…うん、そうだよね。これで終わりじゃない。
「いつか…先生と文化祭回ってみたいな」
「そうだな…必ず叶えてやるよ」
外では花火が打ち上げられ、後夜祭の終わりを告げる。
「ホームルームやらなきゃな…」
「ここを出るのはちょっと名残惜しいけど…戻ろっか」
教官室の鍵を開けて、先生は周りに誰もいないことを確認して、私の手を握って歩き出す。
「…先生?」
「途中まで…な?」
先生は唇に人さし指を当てて、内緒。のサイン。
私は強く手を握りしめて、先生と廊下を歩く。
こうして、楽しかった文化祭が幕を降ろした。
これから起こる出来事なんて…分からなかった。