すると、廊下から…
「澪ー!」
クラスの皆の声がした。
「いた?」
「ううん、澪も先生もどこ行ったのかな?」
皆の声が近い。
「先生…ばれちゃうよぉ」
「大丈夫」
私の不安な表情を余所に先生は何故か余裕だった。
「ねぇ…先生って教官室にいたりしないかな?」
…だめ、来ちゃだめ。
「行ってみようよ!」
近づいてくる皆の足音。
私が先生の服の裾を思わず握ると、先生は私の唇に指を当てて、にっこり、と笑った。
ガチャガチャ…。
「あれ…開かないや」
え…?
「やっぱり、違う所探そう!また二手に皆分かれて!」
遠ざかる足音に胸を撫で下ろす。
「大丈夫だっただろ?」
「いつの間に…」
先生の笑みの理由が分かった。
「さっき、俺が扉の前まで行っただろ?その時に鍵を掛けておいた」
「そうなんだ!…でも行かなくていいのかな?」
「俺は文化祭の最後くらい、澪と二人でいたいけど?」
先生の手が私の頭を優しく撫でる。
「うん!私も!」