「あれ?澪、顔赤いけど大丈夫?」



先生は不敵な笑みを浮かべながら指の動きを止めようとはしない。



「…いじわる」



でも、それが嫌じゃない私もいるわけで…。
辺りはすっかり暗くなって外が騒がしい。
もうすぐ人気クラス発表があって、その後に後夜祭…。



「もうすぐだな」



先生は私の手を持って立ち上がり、窓際の椅子に腰掛けた。



…もちろん、私は膝の上。



外では結果発表が始まっていて、いよいよ優勝発表。



【栄えある優勝は…musical×musical!!】



え、嘘…でしょ?



「澪!」



先生の嬉しそうな声と外からの歓喜の声で現実味を帯びていく。



「本当に?」



「本当も何も、澪が企画名つけたんだろ?」



「musical×musical!!…先生!」



私は勢いよく抱き付くと同時に涙がまた溢れる。今日は泣いてばっかり…。



musical×musical!!
それは私がクラス企画名として付けた名前。



「よしよし…。良かったな」



「うん…うんっ」



先生は私の涙を指で拭いながら優しくキスをしてくれた。



「ご褒美」



「もっと…」



「ったく…。我が儘なお姫様だな…」



降り注ぐキス。
とても温かくて、とても優しくて…とても幸せだった。