似合ってないのかな…?
「澪!」
沙織と三枝ちゃんが近づいてきて私を抱きしめた。
「凄い!凄いよ、澪!」
「私が台本を作る時に思い描いたお姫様そのものだよ!」
沙織と三枝ちゃんは既に泣いてしまっている。
「泣くのはまだ早いよ~。それに衣装汚れちゃう!」
「ちょっと、澪!私達の涙と衣装どっちが大切なのよ~」
「衣装」
周りから笑いが巻き起こる。きっと沙織達なりの気遣い。
私の緊張が解れるように…。
「でも、本当に綺麗。淡い空色のドレスが澪にぴったり」
心さんが作ってくれたドレスは淡い綺麗な空色で所々に小さなキラキラした宝石のレプリカが散りばめられている。
肩が大きく開いているけど、厭らしくはなく寧ろ綺麗さを引き立たせている。
ヘアスタイルは長い茶色の髪を左耳の横で結んでコテで縦に巻いてお姫様風に。
メイクは、お姫様の上品さ且つ可愛さを表すために心さんが試行錯誤してくれた。
「あれ…?靴履いてないの?」
そう…。
今回は敢えて靴は掃かなかった。
儚い感じを演出したかったのもあるし、何より靴を履かなくても十分に綺麗だったから…。
客席の様子を観に行った三枝ちゃんが顔色を変えて戻ってきた。
「どうしたの?」
「ヤバい!大ホールの席が200くらいあるのに満席で立ち見までいるよ!」
…嘘、でしょ?