会いたくても会えない。
でも、毎日毎日思いは募っていく。
抑えきれないほどに。
言葉では直接言えないから、歌でこの思いを伝えたい。
聞いてほしい、聞いてほしくない…。
…こんな場面で歌う曲だと知って、肩に力が入ってしまう。
…書けるのかな?
決意が一瞬、揺らいだ時あの言葉が蘇る。
-何事も挑戦-
そうだよね…。
これも挑戦なんだ。
やってみなくちゃ、分からない。
私は頭を切り換えて、ペンをはしらせる。
大好きな人への思い。
お姫様の気持ちが、この歌で伝わればいいな。
私の気持ちが先生に伝わればいいな…。
「ふぅ…。やっと書き終わった」
歌詞を完成させ、ずっと曲がっていた背中を伸ばす。
時間も気にせずやっていたから何時かが分からなくて時計を見ると…午前1時を過ぎたところ…。
「やば、寝ないと…」
アラーム設定をしようとして携帯を開けると、そこには…着信1件、メール1件の文字。
どれも先生からだった。
【俺がいつも掛けると飛びつくお前が電話に出ないって事は今頃、作詞をしてるんだろうな。
お前なら出来る。俺が保証するよ。
でも、無理だけはするなよ。じゃあ、おやすみ】
…先生、ありがとう。
私、頑張るから…精一杯、お姫様を演じるから。先生への気持ちも歌うから…。
だから、成功したら真っ先に呼び出して抱きしめてね…?