「澪、ちょっと…」
皆と明日からの計画を立てていると三枝ちゃんに呼ばれた。
「どうしたの?」
「澪…本当にありがとう」
三枝ちゃんは私の手を優しく包み込む。
「ううん。私は何もしてないよ。三枝ちゃんの頑張りに応えたかっただけだから…」
私は、そういって微笑む。
「うん。…それでね、澪。歌を一曲歌ってもらうって言ったでしょ。これも、なるべくオリジナルでいきたいの。…でね、澪にこの台本を読んで感じたお姫様の気持ちを歌に書いてきてほしいの」
それって、つまり…。
「作詞…?」
「うん。お願いできないかな?」
「作詞なんて、初めてやるし、上手くいくかなんて分からないよ」
「それでもいいの。澪の感じた素直な気持ちを書けばいいだけだから」
私の感じた素直な気持ち…か。
「分かった。とりあえず頑張って書いてみるね」
「ありがとう!」
家に帰ってから、改めて台本を読む。
私の台詞にマーカーで線をひいてみる。
…あれ、以外と台詞って少ないんだなあ。
お姫様は、どちらかというと何も言わずに思いを募らすタイプだから…。
だから、そんな彼女が男性に思いを募らせて歌うのが、より重要になってくる。