「それ反則だろ…」
先生はそう言って触れるか触れないかのキスを私に降らす。
「いじわる…」
「いや、ちゃんとしたキスを今したら確実に俺が我慢できなくなる」
先生はそう言って私の頭を撫でた。
…この瞬間、すごく好き。
「あっ…。夕飯作らなきゃ」
腕から離れようとする私を先生は自分の中に引き戻す。
「もうちょっとだけ」
「大丈夫だよ、先生。ここは学校じゃないから時間はたくさんあるよ」
「そっか。そうだよな」
「いつもは学校で我慢してる分、甘えちゃうからね…私」
先生の目を見て言えば重なる二人の視線。
「…可愛すぎ。」
「ふふふ。じゃあ肉じゃが作るから待っててね」
一旦、離れがたい先生の腕から離れてキッチンで肉じゃがを作りはじめる。
材料を食べやすい大きさに切って、隠し味に蜂蜜をほんの少し入れる。
これは唯先生の隠し技なんだって。
30分くらい経つとキッチンに広がる肉じゃがの良い匂い…。
お皿に綺麗に盛り付けて、ご飯と他のおかずをテーブルに並べれば完成…。
「ご飯できたよ~」
呼ぶとすぐに来てくれた先生。
「上手そうだな!」
あ…嬉しい。
先生が少しワクワクしてくれてるみたい。
「頑張って作りました!」
「ありがとうな。」
「どういたしまして」
二人の間に流れる優しい空気。
「澪…」
二人の時だけにしか呼ばれない呼び方…。
「似合ってるよ…エプロン」