「先生に言いに行かなくちゃ!…でも用事あるんだよね、この後…」
「大丈夫!私が代わりに言っておくよ」
「うん、ありがとう!」
そして、三枝ちゃんは急いで教室から出て行った。
「先生、どこにいるんだろう?」
「メールしてみたら?」
「そうだね」
私が先生にメールをすると、すぐに返ってきた。
まるで私からのメールを待っていたかのように…。
「教官室にいるって」
「じゃあ、二人の邪魔しちゃいけないから先に帰るね!」
沙織がにやけながら私を見る。
「ちょっとからかわないでよ~」
「嘘だよ!じゃあね!」
沙織は手を振りながら教室を出て行った。
私はまだ少し明るい廊下を歩いて教官室の扉にノックをすれば聞こえてくる愛しい人の声…。
「失礼します」
机に向かっていた先生が椅子を回転させて、こっちを向く。
「どうだった?劇の方は」
「昔に孤児院で劇をやった時にお世話になった人が脚本とか全面的に協力してくれることになったの」
「そうか。良かったな」
先生は私の頭を優しくポンポンと叩いた。
「このあとの予定は?」
「特にないよ」