私は一つ大きく深呼吸をする。
先生が私を安心させるように優しく手を握ってくれた。
「私ね・・・・、一緒には行けない・・・。」
「・・・・・。」
「私はここで多くの人に支えられてここまで来れたの。私はまだ、その人達に恩返しも出来てないし、まだこの場所でもっと学んで生きてみたいの。それに、ここには私にとってかけがえのない物がたくさんある。
それにね、私の居場所はママ達の所ではない気がするの。」
「え?」
「ママ達と一緒にいたい気持ちは凄くあるんだよ。でも私達はあまりにも長く離れすぎちゃった。あの日から居場所を探して迷ってた私に居場所をくれたのは唯先生達の孤児院なんだ。そして今は先生と孤児院が私の居場所なの。それは、これからもずっと変わらない。」
私の居場所は孤児院と先生なんだ。
「それに、今は私がママ達の元にいない方がいいと思うんだ。」
「・・・え?」
「ママ達の空白の夫婦としての時間を取り戻してまた私の大好きな素敵な夫婦に戻ってほしい。それが今の私達にとって一番いい形だと思うの。」