「いいかげんにして!」


私は外であるのも忘れて声を張り上げた。



「さっきから聞いていれば、この場所をひどく言ってるけど、ここは本当にいい場所なの!」



私にあの日、絶望から立ち上がれるように小さな光をくれたのが、この場所。



「捨てられた私に笑顔を与えてくれたの。希望をくれたの。生きる意味を教えてくれたの!家族を教えてくれたの!」



「澪・・・。」


唯先生が涙ぐむ。



「こんな所なんて言わせない。私は絶対に二人の元には戻らない!」



「何でなの?」



「二人は変わったよ。何もかも。昔の二人なら絶対にこんなことは言わなかった。二人は元に戻ったかもしれない。でも私は無理。もう戻れない。
違う、戻りたくない。」



戻れないんじゃない。
戻りたくないんだ。



「こんなに変わった二人を見るなら会いたくなかった・・・。」



「澪・・・。」



「もう来ないで。私の前に姿を見せないで。もう、二人は私の親なんかじゃない・・・。」



私は自分の部屋に向かって走り出した。


後ろから私を呼ぶ声が聞こえたけど聞こえないふりをした。