「元に?」



「そうよ。」



「良く言えるね。元に戻ったなんて。私がどれだけ傷ついたかも知らないのに!」



私はあの日、絶望を知った。


小さい私が一人で抱えるには、あまりにも大きすぎて、腕から溢れてしまって・・・。


その溢れた物を少しずつ拾ってくれたのは唯先生や多くの人達。



「傷つけてしまった事は無くならないけど、また私達皆で思い出を作っていきましょう。」



「え?」



「私達の元に戻っておいで、澪。」




この二人の元に戻る?



「澪、戻って来るんだ。」



「そうよ。こんな所にいたら澪の人生は暗いままよ。」



「こんな所・・・?」



「孤児院なんて、ちゃんとした生活も出来ないでしょ?孤児院なんて楽しくないでしょ?ごめんね。もっと早く迎えに来るべきだったわ・・・。」



「そうだよ、澪。お前には家族が戻ってきた。もうここにはいなくていいんだ。」



「これからは三人で新しい場所で暮らしましょう。」