「御実家に電話かけてみたら?」



「え?」



「久しぶりに話してみたくなったんでしょ?」



「え?」



「かけてみなよ。」



「いや、いいよ。」



「何で?」



「沈黙が続くだろうし。」



「そっか。いつかかけられるといいね。」



「ああ。」





先生が乗っている車を姿が見えなくなるまで手を振る。




空を見上げれば今日は満月。



気持ちが透き通る。



この空の下に、たくさんの家族がいる。



喧嘩最中の家族。


微笑みあっている家族。


新しい命の誕生に喜んでいる家族。



みんな、違う色をした家族。




同じ色をした家族なんていない。




私達は何色の家族になれるのかな?




私は孤児院の玄関に向かって歩き始めた。