その後、霜崎くんは、すっきりしました。とだけ言って笑顔で帰っていった。



「先生、ごめんね。」



「え?」



「霜崎くんを抱きしめちゃって・・・。」



「気にしてないよ。それに俺も柏木と同じ事をしてたと思うよ。」



「うん。」



「でも15年近くも一人の人を想い続けるなんてなかなか出来ることじゃないよ。」



「そうだね・・・。」



「片思いが実るのは奇跡なんだな。」



「うん・・・。」



「俺達はこうして片思いが実って一緒にいることが出来る。
それを当たり前だと思っちゃいけないんだよな。」



そう、当たり前じゃないんだ。


恋が実って一緒にいられるのは奇跡なんだ。



とても幸せな事。



「15年近くも柏木を想ってた霜崎の分も柏木を大切にするよ。」



「うん。」



「こんな俺だけど、ずっと傍にいてくれるか?」



「もちろん!」



「ありがとう。澪・・・。」



「あ・・・・。」



「え?」



「い、いま澪って・・・。」