「変じゃないさ。実にいいことだ。人は空の意味を忘れて生きているものなんだ。その点言えば青山は本当に空が好きなんだって思えるよ。今のことだって空のよさを分かってやれてて僕は言いと思う」

 真剣なまなざしで尋ねてくる青山に少し関心を覚えた。曖昧に感じているのではなく、心のそこから感じているその姿勢に、うらやましくも思った。

「あなたは空の何が好きなのですか?」

 僕が空を好きな理由∙∙∙∙。少年時代に駆け回り追い掛け回した青い空。高いビルに入り込んでは、屋上へと駆け上り手を伸ばす。届きそうで届かない空にあきらめもしなかった懐かしい思い出。人に聞かせれば馬鹿な奴、と鼻で笑われるだろう思い出。