言うとまた貯水タンクから飛び降り、僕の目の前に着地する。いつ見ても無駄がなく柔軟性豊かな身のこなし。またしてもかっこいいって思ってしまったじゃないか。

 翌日も正午過ぎからはサボりで、屋上に居座る怠け者二人。
 晴れ渡る空に感謝して今日も過ごす。
 会話はなくともなぜか落着くこの空間。暖かい陽だまりに包まれているみたいに、穏やかで緩やかで静かに動く歯車のようにカチンと一刻を刻む。
 青山も同じく空、空、空。相変わらず空に向かって呆けていた。
 青春、真っ只中の十八歳とは思えぬだらけぶり。少しは遊びを見つけてはしゃげばいいのだろうけど、それも叶わぬことなのだろう。反射的に苦笑するしかない。

「青山は空の何が好きなんだ?」

 すると僕の質問に間髪いれずに。

「果てのないところです。空には果てがなく、どこまでも羽ばたいて行けそうな気がするのです。風を体いっぱいに受け、雲の波に飛び込み、小さな町並みを眺め、悲しいことを拭ってくれる。私は空のそこが好きなのです。変ですか?」

 なんて口にした。