ご飯を食べ終え暇にふける。今日は午後からは屋上で過ごすとして何をするか。

「授業に出なくていいのか?」

「卒業は確定といえるので大丈夫です」

 確定か、すごい自信だな。

「そっか。お前はさ、秋本先生に僕をつけられてどう思う?」

 空のペットボトルを転がしたり、ぼう、とペットボトルの淵に息を吹いてみたり、指でペットボトルの表面を擦ってみたりと、何気ない気持ちで聞いてみる。

「正直迷惑ですね。あそこまでされなくても私は一人で生きていけるのですから」

 だよな――――――――――――――僕もそう思うよ。何を考えて僕なんかに頼んだのか。青山は僕なんかより立派に生きていけるのに。

「つかぬ事を聞くけど。いつもそこに居るのか?」

「大半はここで過ごしているものですから」

「好きなのか?」

「空が。空を一面見渡せるこの場所がすきなのです」

 その言葉は、この壮大に広がる天涯に受け入れられたい願いをこめた祈りにも聞こえる子供心が残る声。色あせた記憶と未だ残る純粋な気持ちが交差して、先の見えない暗闇を突き進む鳥のように。行く末に、自分の末路を知りながら羽ばたき続ける幸せな鳥。