もう、目が回って、どこにいるか分からない。

 だけど、見えない糸が引っ張っている。

 部室に駆け込む。

 自分でもびっくりするぐらい、驚きの速さでシューズをはく。

 体育館に滑り込んだ!!


「えっ?」

 目の前の景色に目を丸くする。

 何せ、碧がいない。

 皆、思い思いの行動をしている。


――これは!!――

 精華は走り出した。

 事件発生だ。