「おーい岡田」

ガラッと大きな音を立てて
保健室の扉が開く。
せっかく胸がほわぁっと
暖かかったのに…と思いながら
真樹は杉崎の方を見る。

「あ…!」

杉崎が持ってるものを見て
真樹はさっきの苛立ちを
忘れてしまった。

「お土産だ、」
「あ、ありがとうございます」

杉崎に渡されたもの。
それはテディベアが星を
抱えたストラップだった。

スタベアと言うもので
熊が持っている星の色で
運勢が変わるという。
例えば、ピンクなら
恋愛運アップだったり。

ちなみに杉崎に渡されたのは
緑色、つまり健康運だ。

「まだ持ってない色だ…
先生、あたしがこれ好きって
どうして知ってるんですか?」

「岡田の鞄にじゃらじゃらと
着いてるかんなー」

そう笑いながら言う杉崎。
真樹は凄い観察力だな、と
感心するばかりだった。

そして杉崎から貰った
スタベアも付けようと
鞄を手繰り寄せた真樹。

中くらいのスタベアを
じゃらじゃら付けたせいで
ストラップを付けても
埋もれてしまうことに気付いた。

「…携帯に付けよ」

今まで何も付けて無かった携帯は、
スタベアのお陰で
突然輝き出したようだった。

そう感じて満足そうに
微笑む真樹。

「先生、本当にありがとうねっ」
「…どういたしまして」


杉崎は愛しそうに微笑んだ。