他愛のない話をして
学校に着くとすぐに
真樹はある場所へ行く。

「じゃあ悠、また後でね」

下駄箱で靴を履き替え
後ろ向きに悠に言う。
悠は不機嫌そうに呟いた。

「…気をつけろよ」
「くすっ、何に気をつけるのよ」

自分が行く先に危険物は
ないと確信している真樹は
悠の言葉に思わず笑った。

そんな真樹を見て
悠は口を開いた。

キーンコーンカーン…

こんな漫画みたいな
タイミングがあるのか、と
悠は人知れず思った。

予鈴を聞いた真樹は
悠に遅刻しないようにね、と
呟き教室とは逆方向に
パタパタと走って行った。


「…ばーか、」

走り去って行った
影に小さく呟く悠。

そして悠は
自分の教室へと
足を向かわせた。