家を出て数歩。
すぐ隣の家の玄関。
毎朝呼び鈴を鳴らすのは
幼馴染みの特権だと思う。


ピンポーン

呼び出し音の後
暫くして聞こえる女の声。

『はい』
「おはようございます。
悠を迎えに来ました」
『毎朝ごめんね。
もう行かすから
ちょっと待っててね』

はい、と答えると
通信は途絶える。
女の声の後ろで
ちょっとだけ聞こえた
幼馴染みの声に胸が高鳴る。

携帯を出して
時間確認をする。
いつもより少しだけ
早く迎えに来ていた。
そのことにちょっとだけ
罪悪感を覚えた。

4分程経って、
玄関がガチャリと開く。


「おはよう、悠」
「はよ、真樹」

つーかまじで早いから、
等と文句を言いながら
真樹の隣に並ぶ悠。
その姿を見て思わず
くすりと笑った真樹。

「ごめんね?」
「…別にいいけど」

そして並んだ2つの影は
ゆっくりと学校へ向かう。