中学1年のとき
初めて告白されて気付いた。
いつも隣にいる
女の子の可愛さに。


教師のつまらない
授業を聞きながら、
見事昨日恋人になった
幼馴染みを思い出す。

黒板に書かれた
呪文みたいな数式に
嫌気が差した頃、
ポケットに入れてあった
携帯が震える。

もしかして…と
期待しながら
教師にバレないように
机の下で携帯を開く。

しかし期待していた
相手からではなく、
最近仲良くなった
クラスメイトの渡辺だった。

期待が外れたことに
思わず溜め息が出た。
とりあえずメールを
開いてみることに。



今朝一緒にいたのって彼女?



改めて聞かれて
照れてしまう。
頬が熱くなるのを
感じながら返事をする。


そうだよ



それだけで送る。
暫く画面に残った
送信完了の文字を
見つめ携帯を閉じた。

しかし携帯は
すぐにまた震えた。
渡辺からの返事か、と
携帯を再び開く。




めっちゃかわいかったじゃん!
いつから付き合ってんの??




画面の中の文字の羅列に
どうして女は他人の恋話が
気になるのか、と少し呆れる。

正直メールをするのが
面倒臭くなってきた悠は
そのメールに返事をすることなく
机に顔を伏せた。

瞼を閉じて浮かぶのは
愛しい幼馴染み…否、恋人。


はやく昼休みになれ
と、心で呟きながら
チャイムが鳴るまで
愛しい人を夢に見ることにした。