ガチャリ…と音を立て
閉める門。

ふぅ、と気分を
落ち着かせるために
軽く深呼吸をする。
そしていつも通り
悠を迎えに…と
隣の家に目を向ける。


「…え…」
「…よっ」

いつもはまだ家から
出ていない悠が、
今日初めて玄関先で
真樹を待っていた。

あまりに
あり得ないことで
無意識に目を擦る真樹。

すると悠はちょっと
心配そうに近付いてきた。


「…目ぇ痛いのか?」
「あ、いや…幻覚かと思っ」
「お前な…」

素直に驚きを隠さない真樹に
悠はショックを受ける。

まぁ、今までの
自分の行動のせいでもある分
真樹ばかりを責めれない。

小さく溜め息を吐いて
悠は真樹の横に並ぶ。
そして握られた
一回り小さな右手。

「え、あ…悠っ?」

戸惑いを隠せない真樹に
ニマリと笑う悠。

「俺を貶したこと、
これで許してやるよ」


そう言って握った手を
顔の前に持ってくる。

その今までになかった
恋人らしい行為に
真樹はカァァと頬を
赤く染めて俯く。

そんな真樹を見て
照れ臭そうに笑う悠。


周りから見たら本当に
ただのバカップルだ。