保健室から出て
下駄箱まで並んで歩いた影。
どことなく、
ぎこちない空気をしている。

いつもはそんなことないのに。
だがしかし理由はハッキリしている。

悠にとっては真樹の言動。
真樹にとっては悠の行動。

互いが互いを意識して
いつもみたいな空気は
流れない。

そんなちょっとぎこちない
静かな空気を
破ったのは悠だった。


「…さっきさ…」
「え?」

真樹は悠のちょっと
不機嫌そうな表情に戸惑った。
その真樹の反応を
どう捉えたのか、
悠は更に不機嫌になる。

「なんで杉崎のこと…」
「あぁ、あれか」

真樹はそんなことか、と
杉崎とのやり取りを
丁寧に誤解が無いように教えた。

流石にキスをされそうになったことは
恥ずかしくて言えないけれど。


「ふーん…」

全ての説明が終わったあと
悠はそれだけ呟いて
ぷいとそっぽを向いた。

なんだからその仕草が
ヤキモチを妬いてくれているようで
嬉しくなりクスっと笑う真樹。

「そういえば、悠」
「…ん?」
「大事な話、って…」

真樹から促された大事な話に
悠はイキナリ立ち止まる。

「?…悠?」