「気になってるって、お前ゆいのこと好きなのかよ」
「かもな」
「かもなって、お前なぁ・・」
こいつはいい加減な奴だが、付き合いもそこそこ長いし、気の合う友人だった。
好きな女が出来たなら、こっちだって応援してやりたい。
だが、相手がゆいなら話は別だ。
大体、本当にゆいが好きか、どうかも分からないようないい加減な奴より、俺の方がゆいのことを想ってるに決まってる。
ゆいだって、俺のこと想ってくれてるよな・・?
想う意味は違ってても、今は構わない。
いつか俺が男らしくなれば、ゆいも俺のこと・・
「どんな男がタイプなんかな」
「男のタイプ?」
知るかよ。
「幼なじみの癖に知らねぇのかよ」
鼻で笑われた。
ムカつく・・。
「普通知らないだろ」
「そういう話しないのかよ?」
「しない」
そういえば、ゆいが家でテレビ見てた時、何とかっていう芸能人誉めてたっけ。
その時俺は、漫画読んでて・・ゆいだけがテレビ見てたんだよな。
何とかってドラマに出てて、今年の夏だっけ?冬か?・・そんぐらいに映画出演するんだっけ。
熱心に話してくれた、ゆいには悪いが、あんまり覚えてないな。
顔もぼやけてるし。
「そっかぁ。お前使えねぇな」
「うっせぇ。もう授業始まるし俺、教室戻るわ」
何か、ゆいと話したくなってきたし。
「おぅ。今度ゆいを紹介してくれよ!」
丁度、教室のドアを出て行く所で言われた。
「・・・・・・・」
・・引きつった笑顔で手だけ振り、教室を出ていった。