怖くてしばらく近づいていない玄関に向かう。



恐る恐る覗き穴を覗く。

狭い視界をいろんな角度から見回した。


何もない
いつも通りのマンションの廊下。


静かに扉を開けてみる。左右に廊下を見たがやはり何の変哲もない。


部屋を出てすぐ右の階段の踊り場。

何の意識も無く、ふと、踊り場からマンションの外を見た。


――下に"何か"が落ちている。


"それ"から目が離せない。

私が母の日にプレゼントした、空みたいな色したトップス。

空には似つかわしくないどす黒い赤色も混じってしまっている。


信じたくないが紛れも無く母親は
私の住んでいるマンションの麓で壊れていた。


きっと再生不可能なのはわかる。

曲がってはいけない方向に曲がる間接。

飛び散った…血?