「…青山さん、あなた躁鬱(そううつ)病です」

わたしの通う病院の精神科医は、無表情だ。
「躁鬱病は、躁…つまりハイテンションと鬱状態を無意識に繰り返す病気です。青山さんは今、まさに鬱状態にあたります。」

ぼやける視界。
定まらない焦点を必死に先生に向けて話を聞く。

「お薬出しときます。リーマスと、セパゾン。どちらも緊張を和らげて、気分を安定させるお薬ですよ。」

わたしはコクンと頷いた。

「大丈夫ですよ。きちんと飲み続ければ、きっと症状も安定してきます。今夜は悪い夢も見ないでしょう。」


最後に少しだけ笑みを浮かべて、その顔はまた無表情に戻る。

「お大事にしてください。」

ありがとうございました、とわたしは頭を下げて、診察室を出た。