通りたくても通れない状況にイライラが増して、
「黙れよッ!!!!授業戻れやッ、見せ物じゃねぇだろーがっ!!」
そう叫んだ俺を見ては散っていく人。
その時、遠くから救急車の音が聞こえてきて、
「あなた、ちょっと由莉さん見ててね。」
そう保険医は俺に言って、救急車を迎えに門に向かって走って行った。
――――――
「もぅ、最悪…まじ痛い―‥。」
そう小さく呟いた由莉にちょっとだけ笑みがこぼれる。
何も変わっていない由莉に、少し安心した。
「大丈夫かって大丈夫じゃなさそうだわ。」
「…まぁ、痛い。」
「だよな。」
「夜琉になんて言おう…。」
「さっき電話したら、今から華月来るって言ってたわ。」
「はッ!?」
「悪い、電話した。由莉があんま酷かったから。」
「あ―‥そっか。」
そう言ってまた目を閉じた由莉はやっぱり辛そうで、痛そうだった。
沈黙が続くなか、突然ポケットの中にある携帯が振動して、携帯を開く。
「はい。」
『亮、華月のどこだ。』
「夜琉さん、やっぱり華月に来ると大変な事になります。」
『どこだ。』
「夜琉さんが由莉の元に来ると、那妃が誰かバレますッ!!夜琉さんと由莉が付き合ってる事がバレたらヤバイって夜琉さんが一番分かってるはずです!!」
『亮、俺を誰だと思ってる?』
「…はぁ、俺は知りませんよ。どうなっても。」
『…。』
「正面入り口を入って右にある階段の下です。」
そう言った次の瞬間にはすでに電話は切れていた。