「先生、保健室のベッド一つ空いてましたか?」


「保健室…?空いてるけど、、どうかした?」


「一つ借りますね。」


千佳はとりあえず保健室に寝かして、夜琉さんがくるまでは俺が由莉を見とかないと…。


階段を上り、倒れてる千佳に声をかける。


「千佳…。」


「…。」

うっすらと目を開けた千佳は少し微笑んで

“ありがとう”

と声にならないかすれた息でそう言った。


「別に。今から少しの間、千佳は保健室で寝てろ。後で俺が迎えに行くから。」


「ぅん。」


ゆっくりまた目を閉じた千佳を抱いて、保健室に行ってベッドに寝かせた。


「ゆっくり寝とけ。」


そう呟いて保健室を出た俺は、どうするか悩んでいて。


まず夜琉さんが今華月に入ってくるとまずい…。
先生達にバレたら大変な事になるのは当たり前だし、ましてやキレている夜琉さんを止められる人がいない。


「…なんだこれ。」


由莉のいる階段の下に戻ってきたら、バカみたいに野次馬が群れていて。


「あれって金堂さんでしょ!?」「やばくない!?」
「突き落とされたって本当!?」「突き落とした奴まじ殺してぇ。誰だよまじ。」
「でもさぁ~可愛いからって調子のってたからじゃない?」


ガヤガヤと自分が思うままの事を言っては騒ぎたてて、保険医の先生が注意をしているのに誰も聞かない。