「滝沢 康介です。

これからよろしくお願いします。」

いきなり自己紹介をされてしまった。

こうゆう時はやっぱり、

私も自己紹介するべきか。


「北川 春菜です。

どうぞよろしく。」

「知ってる。」

「はい?」

「名前知ってた。」

そりゃ知ってるか。

黒板にあんなにどうどうと書かれていればね。

滝沢 康介か…。

でもなぁ〜んか私も聞いたことがあるような…。

不思議な感覚。




浅黒い肌。

左耳に光るピアス。

笑うと消えてしまいそうになる目。

身長は多分176cmくらいと見た。

いきなりの分析は、

やめたほうがいいか…。



でも、

隣りがいい人で良かった。

なんだかほっとした。

自ら自己紹介してくれるなんて、

きっと今時居ないよね。

少しだけ頬が緩んだ。



その時だった。

「ハル!!」

聞き覚えのある声…。

そいつはどかどかと人のクラスに土足で入り込み、

堂々と私の目の前に立ちはだかった。



「な…なに?」

「1組の柳川 勝也。」

「知ってる。」

「まじで明日から迎えに行かないからな。」

「!?」



な…なんてゆうKYな男。

勝也は言いたいことを一気に吐き出すと、

またどかどかと教室を後にした。



「彼氏?」

康介から予想通りの言葉。

「いや。他人。」

そして予想通りの展開。