「なんかぼぉ〜っとしてない?」

お昼休みになって、

美夜子が私の異変に気がついた。

「そ…そうかな?」

顔の火照りが朝からおさまらない。

ゆでダコみたいになってるのが自分でも分かる。



美夜子には言うべきだよね。

親友だし。

これからたくさん相談とかもしたいし。


「あのね、美夜子…ー」

「ハル!!!」

私の言葉を遮るように、

勝也が教室に入ってきた。

…タイミング悪過ぎ。



「なぁ〜にぃ〜?」

「はいコレ。」

勝也がくれたのはイチゴミルクだった。

私が大好きなイチゴミルク。

「売店で売ってたからハルの分も買ってきた。」

「ありがとっ。」

少しふてくされた態度で勝也からイチゴミルクをもらった。



「てか勝也!あんた自分のクラスに友達居ないの?」

美夜子が鋭いツッコミを入れた。

「友達?出来た出来た。」

ジュースを飲みながら、

勝也が康介の席にドカッと座った。

「!?」



こいつ完全に嫌がらせで康介の席に座った。

絶対そうだ。

康介が居なくて本当に良かった。


「ふ〜ん。」

勝也が私を見つめながらそう呟いた。

「なに?」

しかめっ面の私をたしなめるように見る勝也。

美夜子は全く意味の分からない顔をしている。



「部屋が隣りよりも、

席が隣りの方がよっぽど近いな。」

やっぱり…。

それを確認しに、

勝也は来たんだ。



隣りは一緒でも、

隣りに居る人が勝也じゃなくて康介だったら、

私の気持ちは見事に変わるんだよ。