「あのさ…。」

「なに?」

「あの〜…ね?」

「だからなに?」



今いきなり言うべきなの?

でも言い出しちゃったから後戻りは出来ないよね。

でもでも、

言い出しちゃったタイミング悪過ぎたかも…。



「昨日思い出したんだけど〜…。」

「思い出してくれた?」

「え?」


康介を見ると、

康介が少し意地悪そうな笑顔で私を見つめてきた。

もしかして、

康介は最初から……。



「知ってたの?」

「知ってた。」



だから昨日、

私が康介に自己紹介をした時に、

「知ってる。」って言ったんだ!!

なんで?

すごい記憶力なんですけど…。



「なんで言ってくれなかったの!?」

少し声が大きくなってしまい、

先生に気付かれた。

ジロッと見られただけで、

とくに何も言われない。

とりあえず今は黙っておこう…。





「お前が気づいてくれんの待ってた。」

康介がぼそりと呟いた。

そして姿勢正し、

真っ直ぐ前を見る康介。



なんだか計り知れない嬉しさがこみ上げてきて、

私も康介をマネして、

姿勢を正し、

真っ直ぐ前を見た。

顔はきっと、

ニヤけてる。