どうしてこんなに強気なんだこいつは。

もっと…、

いや、

もっともっともっと謙虚になれば、

まぁまぁいいヤツって思うのに。

可愛くない。




「滝沢に振られて、

泣きっ面見ても知らねーからな。」

「うっさいボケ!!!」

勝也の自転車を思い切り蹴ってやった。

バランスを崩した勝也が、

サーカスに出てくるピエロに見えて、

急に可笑しくなった。


「ピエロじゃん!!ハハハハ!!」

「お前まじムカつく!!」

そのまま猛スピードで学校まで自転車を飛ばした。

勝也に追いつかれたら、

きっとピエロ状態ではおさまらないから。




学校へ着くと、

急にお腹がソワソワしてきた。

私きっと、

緊張してるんだ。



「おはようハル!!」

美夜子だ!

今日はなんだか化粧がいちだんと決まっているように見える。

「おはよう美夜子〜!」

「今日は勝也と登校したんだね。」

「あ〜…はい。」

「あんた達の喧嘩って、

本当に喧嘩って言うのかね。」

上履きに履き替えながら美夜子が言ってきた。

「喧嘩は喧嘩!!全然喧嘩!」

「全然喧嘩の意味が分からないけど。」



喧嘩だし。

普通に喧嘩だし。

むしろ死ぬか生きるかの世界だし。



「お前覚えとけよ!!」


玄関中に響き渡るほどの勝也の声。

みーんな見てる…。

恥ずかしい…。


どかどかと教室に向かう勝也の後ろ姿を、

これでもかと言う程に睨みつけてやった。



「ハル…怖いって。」

「生まれつきこうゆう顔なの!」


そして私もどかどかと教室に向かった。