勝也がドカッとベットの横に座った。

「もう寝るから早く戻ってよね。」

「お前の席の隣に座ってた男って、

滝沢康介だよな?」

「えっ…なんで知ってんの!?」

思わず体を起こしてしまった。

「お前忘れたの?」

「何を!?」

「あいつ俺らと一緒の小学校に居たじゃん。」

「えっっ!?」

「確か小3くらいに転校したけど。」



…………ん?

……んん??

そう言われてみれば……。



居た。

居た居た。

滝沢康介!!!

思い出すのに相当時間はかかったけど、

確かに思い出した。

だから初めて会った感じがしなかったんだ。


「思い出した…。」

「遅っっ!!どんだけ時間かかってんのよ!

もう煙草2本目吸い終わるぞ。」

「だから初めて会った感じがしなかったんだ…。」




もう一つ思い出したことがある。

康介は私の初恋の相手だ。

転校したことがすごくショックで、

知らぬ間に記憶のどこかに鍵をかけてしまったんだ。

こんなことって…あるんだ。



「お前さ、好きだったよな?」

「うん…。」

「好きだった奴のことくらい覚えとけよ。」

「うん…。」




放心状態とはこうゆう感じなんだ。