高校2年生の彼らはそんな『大人の事情』など知る由(ヨシ)もないが、世良の鬼気迫る形相に潮は押し黙っていた。


「でも先生」


 一息ついてやっと普通に呼吸が出来るようになった疾風が、一歩前に進み出た。


「ん? なんだサッサ」


 疾風は皆から『サッサ』と呼ばれている。


「先生には専用コーナーを設けたんです。勿論これは常に周りを気遣う好人物である俺の案ですけどね」