「なんですか? 世良先生。今年もまた可愛い生徒達を出し抜いて小遣い稼ぎをするつもりだったんですか?」


 疾風はイヤミたっぷりで教師を詰(ナジ)った。責められた彼は拗ねたように頬っぺたを膨らまして、逆ギレをする。


「先生にだって付き合いってもんが有るんだ。そういう時に無一文じゃ、話にならんだろう!」


「そんなことお、家に帰ってから奥さんに言って下さいよお」


『それが出来ればとっくにそうしてるってんだよ!』


 彼は昔、若気の至りで妻の妊娠中に一夜の快楽に流されてしまったことがある。それからというもの、何かにつけてそのことを持ち出され、今は全く妻に頭が上がらない体制が世良家には出来上がってしまったのである。