「女の子が一生懸命話し掛けてるのに、男の方はてんで相手にしてあげてないんだよお」


「そんなの別に良く有る光景じゃないか牛くん! その女が不細工なんだろうよ」


「奴らが来ない内に……おわっ? お前らなんだ? いつの間にこれをっ!」


 教室の引き戸をカラカラと開けて入って来た世良は、メガネに眼球がくっ付く位に目をひん剥いた。

それもそうだ。彼に取っては授業が終わってから5分程しか時間が経過していないのだから。